"あやまち"からはじめませんか?
「じゃあいいですよ。言い方を変えます」
言い方を変える?
彼はそう言い放つと、私の腕にキスをしてから言った。
「結衣さん、命令です。
今後は絶対俺に頼ること」
「ちょ……そんな時に命令使うなんて」
「俺が心配なんです。分かって下さい」
すると宇佐美くんはくるりと振り返った。
「じゃあ、俺先生呼んで来ますから」
勝手にそんなことを決めて出ていってしまった宇佐美くん。
「なによ、それ……」
彼の触れた腕が熱を持っている。
意味、分からない。
どうしてそんなに人のことに必死になるのよ……。
ドクン、ドクンと音を立てる心臓がうるさくて落ちつかない。
その理由が私にはサッパリ分からなかった。
それから。
宇佐美くんが呼びにいってくれたお陰で
保健の先生がやってきて、先生に手当てをしてもらうと、
もう授業が始まる時間になっていた。
まだみんなに解散を伝えていない。
早く戻らないと。
急いで掃除場所に戻ってみると、そこには誰もいなかった。
きっと宇佐美くんがやってくれたのね……。
本当に彼には頼りっぱなしだ。