"あやまち"からはじめませんか?
ウソでしょ……。
あんなにたくさんあったのに。
「こんなに全部1日でやったの?」
「これくらい余裕ですよ」
キレイに埋まった書類を見つめる。
やっぱり彼はすごい。
「でもどうして……」
これをすることで彼にメリットはない。
それなのになんで……。
「こうでもしないとあなたはひとりで頑張りすぎるでしょ?」
頑張りすぎるって……。
ドクン。
1度強く心臓が音を立てたと思ったら、そこからじわじわと熱が広がる。
いっつもそうだ。
私がしたことを見ていてくれるのは昔から彼だけだった。
『結衣さん、半分俺にもやらせてください』
『また無理して……オーバーワークですよ』
自分がしたことを誰かに認めて欲しいって思ったことは一度も無かった。