"あやまち"からはじめませんか?



名前を呼んで。


「ちゃんと考えて」


じりじりと私を追い詰めて。


「分からないってば!」


それから私を下に落そうとしているの?


考えたくなくて、ドンと彼の肩を押すけれど宇佐美くんはびくともしない。


「う、宇佐美くん?」


その距離がどんどん近くなる。

まるでキスでもしそうな距離だ。


「3」

「ちょっと!」

「2」

「やめてって……!」

「1」

「宇佐美くん!?」


覆い被さってきた宇佐美くんは意地悪に笑って言った。


「タイムアップです」


そして私を抱きしめると、耳元で言った。


「捕まえた」


――ドキン。


彼の温もりが体に伝わる。

心臓がドキドキして壊れそうだ。


なんで、こんなに温かいんだろう。




< 59 / 276 >

この作品をシェア

pagetop