"あやまち"からはじめませんか?
『宇佐美くん、カッコいいよね~』
『おかたくないけど、しっかりしてるしね』
彼をしたうものは本当に多い。
『次の生徒会、立候補絶対するよね?』
『そしたら絶対投票する!』
『私も~』
今は私を立てるため、1歩引いた立場で仕事をしてくれているけれど
いずれ……。
『今日から生徒会長になりました宇佐美直人です』
彼は私を抜きさって、トップに立つんじゃないか。
そう思わずにはいられなかった。
私にはないものをたくさん持っている彼。
そんな彼の側にいると不安がどんどん大きくなっていく。
「結衣さん?結衣さん!
ぼーっとしてますけど、大丈夫ですか?」
「あ、ごめん……」
先生の話が終わり、生徒会室に戻った私たち。
宇佐美くんの声ではっと我にかえると、ふたりきりの部屋で彼がぽつりとはなし始めた。
「来月、生徒会の選挙ありますよね」
「えっ、うん……」
ちょうど考えていたことを言われてあせりだす。
持ってる書類を無駄にそろえて動揺を隠した。
「結衣さんは生徒会長に立候補するんですか?」