"あやまち"からはじめませんか?



「消毒しますね?」

「うん……」


しかし、彼は消毒液をとることなく、私の人差し指にちゅっとキスを落した。


「ちょっ……!な、に」

「なにって、消毒でしょう?」


耳元で小さくささやく声はイジワルだ。


「せ、先生が言ってるのと違う……!」


かあっと顔が熱くなり、とっさに手を引っ込めると先生が私たちにたずねた。


「そこふたりは大丈夫?」

「あっ、だ、大丈夫です!」


明らかに動揺している私。

するとそれを見た宇佐美くんはくすくす笑う。


もう、人のことバカにして……!


「出来たらか患部にガーゼを優しく当てて止める。

強すぎないように気をつけてね」


そっと、宇佐美くんがガーゼをあてる。


これでオッケーだ。

なんでも器用にこなす宇佐美くんはいつだって1回で上手く仕上げてくる。


「次、軽い打撲の対処方ね」


私と宇佐美くん。
今度はやる方を交代した。


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