"あやまち"からはじめませんか?



「打撲はシップを貼って、包帯を巻く。

包帯が難しいからよく見ていて」


先生のやっているのを見ながら、私が必死で宇佐美くんの腕に巻いていく。

しかし。


「あれ……おかしいな」


全然見本のように上手く出来なくて、仕上がったのは。


「何ですか、これ。下手すぎでしょ?」


包帯がぐちゃぐちゃに巻かれた宇佐美くんの腕だった。


「ご、ごめん。

なんか上手く出来なくて……一回ほどくね」


ゆっくりと包帯を外していると、宇佐美くんは言う。


「結衣さんって不器用なんですね」

「悪い?」


どうせ私は何でもこなす器用なタイプなんかじゃないし……。

みんなの人一倍練習して、勉強して、ようやく人と同じになれる。

本当はもっと生徒会長って、

なんでも器用にこなすような宇佐美くんの方が向いているんだって分かってる。




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