"あやまち"からはじめませんか?



みんなぞろぞろと生徒会室を出ていく中、いつもの通り宇佐美くんはこの教室に残っていた。

私もやらなくちゃいけない仕事が少し残っている。

もう一踏ん張りしなくちゃ。


「吉永」


気合いを入れていた時、岩田くんが私の名前を呼ぶ。


「どうかした?」

「年間の予算チェックをしておきたいと思ったんだけど、ここにあったファイルってどうしたっけ?」

「あ、ごめん。それ私が持ってるわ」


自分の机からファイルを取り出して彼に差し出すと、岩田くんは突然笑いだした。


「何?」

「吉永。髪になんかついてるぞ」

「えっ!ウソ!?」


慌てて髪を払うけれど、落ちてないのかいつまでも笑っている岩田くん。


「ここだって」


そして彼がそっと手を伸ばした時。


――パシン。






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