"あやまち"からはじめませんか?
「触らないでくれますか?」
それを宇佐美くんがはたいた。
えっ……?
ビックリして宇佐美くんを見ていると、彼は岩田くんをにらみつけている。
「なんだよ、キバむきだしの犬みたいに」
「犬ならまだいいかもしれないですね」
お互いにらみ合うふたり。
なんか……仲悪くない?
どうしていいか分からなくなり、あせっていると岩田くんが低い声で言った。
「俺、お前のこと嫌いだわ」
「奇遇ですね、俺も先輩のこと大嫌いです」
岩田くんの言葉に笑顔で答える宇佐美くん。
すごい仲悪い……?
なんで?
いつから?
ふたりが仲悪いなんて全然気づかなかった。
宇佐美くんから視線を外した岩田くんは私の方を向き直ると、いつもの優しい笑顔で言った。
「吉永これありがとな、お疲れ様」
「あっ、うん……お疲れ様!」