"あやまち"からはじめませんか?



そして、岩田くんは宇佐美くんを見ることなく言いすてる。


「番犬宇佐美くんもまた明日」


彼は岩田くんの言葉には何も返さなかった。


ガチャンと音を立ててドアが閉まっていく。


驚いたな……。


こんなにバチバチしてるなんて思わなかった。


ふたりの間に何があったんだろう。


宇佐美くんとふたりきりになった部屋で彼はいらだったように舌打ちをする。


「ねぇ、ケンカはよくないと思うの。周りの雰囲気にも影響が出るし」


「……分かってますよ」


そうはいいつつも、宇佐美くんのイライラは収まっていないようだった。


どうしよう。

何か岩田くんのいいところとか言ってあげた方がいいかな……。

そしたら宇佐美くんが気づいて冷静になるかもしれない。

そう思った私は思い切って彼に伝える。







< 75 / 276 >

この作品をシェア

pagetop