"あやまち"からはじめませんか?



目の前のゴールにボールがくぐり抜ける。

誰かが勢いよく放ったボールはダン、ダン、とバウンドして戻ってきた。


誰……?


後ろを振り返れば、そこにはこっちを睨む宇佐美くんの姿があった。


「俺の方が上手いっすよ」


にらみ合うふたり。

さっき宇佐美くんが投げたボールを岩田くんが拾うと、口角を上げて言った。


「勝負しようか、宇佐美」

「望むところです」

「ちょっ、勝負って……!確認が終わったなら今日はもう」

「おお~宇佐美と岩田先輩が勝負するって」

「やべぇ対決じゃん、俺得点やってやるよ」


止めようとしたけれど、周りが盛り上がってしまって止められない。


ふたりは当然、聞く耳なんかもたず、試合体制に入ってしまった。


もう……。


「試合は3点先取。どっちかが先に3点とった方の勝ち。どうだ?」

「いいですね」


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