"あやまち"からはじめませんか？

しかし、ボールはゴールに入らず跳ね返ってしまった。


「クッソ……」


今度はボールを持ったのは岩田くんだ。

ターンして自分のゴールへと向かう。

それに遅れることなくついていく宇佐美くん。


本当にどっちが勝つのか分からないハラハラする試合。


しかし、その試合のきんこうは崩れた。


宇佐美くんがディフェンスをしている状態で岩田くんはふっと肩の力を抜くと、小さくつぶやく。


「悪いな、後輩。俺だって好きな子にいいとこ見せたいから」


そう言い放った岩田くんは、素早いドリブルで宇佐美くんを抜くと、ゴールまで走った。


ダン、ダン、としていたドリブルの音が止まる。

宇佐美くんも追いついたけれど、１歩遅く彼はシュート体勢に入っていた。

間に合わない！

そう思った時、岩田くんが放ったシュートはキレイに決まった。


「ゴーール！！」