"あやまち"からはじめませんか?
「お疲れ様、すごかったね!さすがバスケ部」
「元だけどな?久々に動いたよ。
あーそれと、何個がダメになってるボールがあったから新しいの買えないか予算立ててみるよ」
「ありがとう!」
すごい、本当に遊んでるだけじゃなかったんだ。
「じゃあまたな。吉永もあんまり頑張りすぎるなよ」
「うん」
ひら、と手を振ると岩田くんは笑顔で去っていった。
岩田くんを送り出した私はくるりと後ろを向く。
「で、宇佐美くんは何してるわけ?」
負けた宇佐美くんはさっきから頭にタオルをのっけたまま、動かない。
もう誰もいなくなってしまったし……。
「帰るなら早いうちに」
「帰りません」
「えっ」
帰りませんって……。
いつまでもそのままで動こうとしない宇佐美くん。
困るんだけどなぁ。
でも彼がこんな状態になっているのはめずらしい。
私はため息をつきつつも、宇佐美くんがかぶっているタオルを勢いよく奪った。