"あやまち"からはじめませんか?
「宇佐美くん、拗ねてるの?」
タオルとはぎ取ると、そこにはむすっとした宇佐美くん姿がある。
「悪い、ですか」
なんか、意外……。
宇佐美くんも負けてくやしいって思うことってあるんだ。
「ふふっ」
そんなこと考えると、やっぱり後輩なんだなと思って面白くなった。
宇佐美くんの、こういうのレアかも。
普段もこんな感じだとかわいいのに……。
「笑わないでください」
宇佐美くんはむすっとした顔のままこっちを見た。
「またリベンジすればいいじゃん」
「そういう問題じゃないんです」
宇佐美くんは小さくつぶやくと、私の腕を取る。
「なんで俺が今日
岩田さんとの勝負を引き受けたのか分かりませんか?」
なんでって……。
岩田くんに負けるのが嫌だったからじゃないの?
「単純な理由じゃないんです」