死席簿〜返事をしなければ即、死亡


まだか?


スピーカーを見上げるが、のんびりと俺たちの名前が読み上げられていく。


水口はまだ放送室に着いていない。


この放送が聞こえている限りは、まだ途中だろう。


最初、水口に打ち明けられた時には、にわかに信じ難かったが、名前が違っているのなら返事をする必要もない。そのことは俺でも分かる。


ただ、放送室に【誰が】待ち構えているか分からない。


今井の凶行に協力するようなやつは、まともじゃないからだ。


女子の水口には荷が重い。


それなら逃げるように勧めたが、本人は俺たちを助けたいと譲らなかった。せめてハサミを手渡して、すぐに小金沢と打ち合わせをする。


時間がなかったが、すぐに理解した小金沢。これまで親しくする機会がなかったが、お互いを意識していたこともあってか、目配せするだけで言いたいことが伝わるのは有難い。


洋子たちにも指示を出し、4限目の【生贄】の授業が始まった。


俺と小金沢は殴り合う。


演技を超越した、本気の殴り合いだ。


そうでもしないと、今井の注意を引きつけておくことができない。


とにかく時間を稼ぐ。


水口が、放送室にたどり着くまでの時間を。


< 130 / 221 >

この作品をシェア

pagetop