死席簿〜返事をしなければ即、死亡
だが、それも限界がある。
とうとう投票が始まった。
俺は今井に気づかれないよう、みんなに頷きかける。
誰か1人を生贄として差し出す。そして生贄は死ぬ。
それなら、水口の名前を書けばいい。
今、【水口智花】は居ないのだから。
次々と読み上げられ、積み上げられていく票数。
まだか?
焦れば焦るほど、すべてが空回りするようで。
「水口智花‼︎」
なにかに気づいた今井が、水口の席に近づく。
ずっと伏せっている、明らかに不審な生徒。
バンっ、と机を叩く。
やばい。
振り返って止めようと腰を浮かせた時、水口が床に流れ落ちる。
今井が、水口の顔を確認した。
「なっ⁉︎」
驚いて俺たちを見やる。
【江東奈美】の死体に、唖然とした様子だ。
「お前たち、騙したのか?」
怒りに染まっていくのを、俺たちは見ているしかない。
今井は片方にナイフを、もう片方にスタンガンを握って、今にも襲いかかってこんばかりだ。
「生徒の分際で、教師を騙したのか‼︎」
そう怒声を上げると、近くにいた洋子に向かってナイフを振り上げた。
「よ、洋子⁉︎」
とっさのことで判断が遅れて__。