死席簿〜返事をしなければ即、死亡


篠塚、矢井田、和田の順で並んでいる。


そのうち、篠塚と矢井田がさっと視線を交わしたのがわかった。


そして、端っこの和田カレンの体が強張ったのも。


「どうした?食べずに全員が死ぬか、誰かに食べさせて生き残るか?ずる賢いお前たちなら__」


がたん!と椅子が後ろに倒れる。


勢いよく立ち上がったのは、篠塚有里華だ。


その手にパンが握られている。


同じく立ち上がった矢井田ミキと一緒に、椅子から転げ落ちた和田カレンにのし掛かった。


「や、やめて‼︎」


なんとか逃げようとするも、2人がかりで押さえ込まれては勝ち目がない。


「ちょっと、やめなさいよ‼︎」


洋子が止めに入ろうと駆け寄ったが、マウント状態の篠塚が「外野は黙ってな!」と睨みをきかせる。


「ミキ、もっとちゃんと押さえてよ!」


「やってるって!こいつ、馬鹿力で__」


「お前、諦めてパン食えよ!あたしが食わせてやるからさ!」


篠篠が無理やり、カレンの口にパンを押し込む。


しかし、その口はきつく閉ざされたまま。手足をバタつかせ首を振って足掻く。口を開けたら最後、毒が体を駆け巡る。だからカレンも必死だ。


「てか、しぶとい!」


そう言って、篠塚が頬をぶった。


暴れていたカレンの動きが止まる。


篠塚がその隙を逃さず、わずかに開いた口の中にパンを詰め込んだ。



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