死席簿〜返事をしなければ即、死亡
「ちょっ、てめぇー裏切ったな‼︎」
「先に裏切ったのはあんたでしょ‼︎」
矢井田ミキがのし掛かって、篠塚の動きを封じる。
「ぜってー許さない‼︎2人ともぶっ殺してやる!」
力の限りに暴れ倒す、その怒りようは凄まじく、2人がかりでも押さえるのに苦労している。
まして口の中にパンを押し込むなんて、至難の技だ。
篠塚は、迫ってくる指を咬みちぎらんばかりの勢いだ。
「ちょっと、早くしなさいよ!」
矢井田が急かすが、気持ちの強さでいうと、やはり真面目な和田カレンは__。
ばちん。
鋭い音がした。
先ほど、篠塚がカレンを平手うちした時とは比べものにならない、重たい一発だ。
脳が揺れたのだろう、篠塚がぐったりする。
「あんたが死ねばいいのよ」
カレンが、ぞくりとするほど静かな声で言いながら、半開きの口にパンを押し込む__。
その時、篠塚が体を起こした。
くしゃみとも咳ともつかない震えに、体が揺れる。
えっ__?
「もう、毒が回ったの?」
矢井田がのけ反るように尻もちをついた。
目を見開いて振り返るカレンの手には、パンが握られているが?
篠塚は、まだパンを食べていない。
それなのにどうして?
どうして血を吐いたんだ?