死席簿〜返事をしなければ即、死亡


「ちょっ、てめぇー裏切ったな‼︎」


「先に裏切ったのはあんたでしょ‼︎」


矢井田ミキがのし掛かって、篠塚の動きを封じる。


「ぜってー許さない‼︎2人ともぶっ殺してやる!」


力の限りに暴れ倒す、その怒りようは凄まじく、2人がかりでも押さえるのに苦労している。


まして口の中にパンを押し込むなんて、至難の技だ。


篠塚は、迫ってくる指を咬みちぎらんばかりの勢いだ。


「ちょっと、早くしなさいよ!」


矢井田が急かすが、気持ちの強さでいうと、やはり真面目な和田カレンは__。


ばちん。


鋭い音がした。


先ほど、篠塚がカレンを平手うちした時とは比べものにならない、重たい一発だ。


脳が揺れたのだろう、篠塚がぐったりする。


「あんたが死ねばいいのよ」


カレンが、ぞくりとするほど静かな声で言いながら、半開きの口にパンを押し込む__。


その時、篠塚が体を起こした。


くしゃみとも咳ともつかない震えに、体が揺れる。


えっ__?


「もう、毒が回ったの?」


矢井田がのけ反るように尻もちをついた。


目を見開いて振り返るカレンの手には、パンが握られているが?


篠塚は、まだパンを食べていない。


それなのにどうして?


どうして血を吐いたんだ?


< 159 / 221 >

この作品をシェア

pagetop