死席簿〜返事をしなければ即、死亡

協力者の正体



【協力者の正体】


ごんっ。


鈍い音がしたかと思うと、今井がその場に崩れ落ちた。


叫び声を上げることも、痛みに顔をしかめることもなく、受け身を取らずに床に倒れる。


【猪俣直樹】


名前を呼ぶ声は、教室のスピーカーからだ。


「はい!」


大きく返事をする猪俣は、どこか胸を張っているように見えた。


「今だ、今がチャンスだ‼︎」


真っ先に動いたのは、小金沢だ。


そこら辺を家探しし、ガムテープを手に戻ってくると__。


今井の口に貼り付けた。


これで名前を呼ぶことができない。


「楠木、向こうは任せていいか?」


小金沢は、教室の天井を見上げる。隅のスピーカーから漏れ出てくる、俺たちの名前。それを流している奴を、食い止めに行かないといけない。


「わかった。二手に分かれよう」


俺は的確に指示を出す。


放送室に向かうのは、俺と洋子と、空手部の北野。3人で充分だったが、矢井田ミキも行くという。教室に残るのは、小金沢と知念瑠璃、そして今井に不意打ちを食らわせた、猪俣の3人だ。


【小金沢篤】


「はい!」


得意げに返事をする小金沢は、今井を椅子に座らせてぐるぐる巻きにしていた。


これで身動きも取れないだろう。


「小金沢、頼んだぞ」


「ああ、任せとけ」


しっかり頷くのを見届けてから、俺たちは教室を飛び出した。


放送室に向かって。


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