死席簿〜返事をしなければ即、死亡
「こんな時に愛の告白か。お涙ちょうだいだな」
わざと茶化す今井の言葉は、俺たちの耳には入らない。
こんな時だからこそ、だ。
ようやく素直になれた。
「洋子のことがずっと好きだった。だから、生き残ってほしい」
「いや、そんなの、いや」
「洋子は俺のこと、どう思ってる?」
「どうって、そんなの__」
「嫌いか?」
「嫌いじゃない!私も、私もずっと雷人のことが好きだった。小さい時からずっと」
「そうか、ありがとな」
それだけ聞けたら充分だ。
もう、充分だ。
俺は立ち上がり、今井のほうに向き直った。
「お前は一体、どうしたい?お前の望みは、俺たち生徒を全員、ぶち殺すことか?俺たちが、お前を蔑(ないがし)ろにしてきたから?それだけのことで、こんな惨(むご)いことをしたのか?たったそれだけのことで?」
矢継ぎ早に質問を重ねるが、今井が鼻で笑い飛ばす。
「僕を怒らせて名前を呼ばせようってわけか?」
「違う。ただ純粋に知りたいんだ。俺たちは、こんなこと望んでいなかった。お前が__」
「先生だ!」
「えっ?」
「【お前】じゃない。僕はお前たちの教師で、先生なんだ。まず、そこから間違っている」
「じゃ先生、教えてくれよ。先生にとって、教師ってなんだよ?」