死席簿〜返事をしなければ即、死亡
「教師とは、生徒たちにとって絶対的な存在でなければならない。この学校において、学生生活において、生徒の模範であり憧れであり、崇められる唯一無二の存在。それが先生というものだ」
どこか虚ろな目をして、俺たちの先生は言う。
足元に生徒を転がし、生徒を盾にとり、教室を思うがままに操っている、俺たちの先生。
こいつは、自分に酔い痴れているだけなんだ。
名前を呼んで脅さなければ、恐怖心で支配しなければ生徒を従わせることもできない、尊敬とはかけ離れた、血も涙もない男。
「じゃ、先生は俺たちのこと、どこまで知ってる?」
「なんだ、どういう意味だ?」
「ジャクソンが母子家庭で、家計を助けるために新聞配達のバイトをしてから学校に来ていることは?」
俺が隠された真実を口にすると、はっと驚いた顔をする。
やっぱり、知らなかったんだ。
「篠塚有里華が7人兄弟の長女で、いつも兄弟たちの面倒を見ていることは?」
「そ、それがどうした?そんなこと、どうでもいい」
「どうでもよくない!結局お前は、俺たち生徒の表面しか見ないで、逃げてただけだ。俺たちとろくに向き合うこともしないで、理想の教師像を追いかけていただけ」
「生意気な口をきくな、先生に向かっ__」
「お前なんて、俺たちの先生じゃない!」