死席簿〜返事をしなければ即、死亡
返事はない。
窓際で机に突っ伏す一ノ瀬は、肩を震わせている。
泣いているんだ。
確か、安達みつると仲が良かった。2人は付き合っていたのかもしれない。しかも、鮎川沙奈江とも親しかったように思う。
立て続けに突然、大事な人を失った悲しみは大きいに違いない。
ここは、そっとしておいて次の名前を__。
「遠藤重人」と呼ぶつもりだったが、言葉が掻き消えた。
一ノ瀬ミサの泣き声によって。
しくしく悲しく泣いていた泣き声が今や、激しく肩を震わせて号泣している。
嗚咽を上げて時折、机を叩くのは悔しいからか。
その表情は見えないが、涙が溢れていることだろう。
隣の席の【久保明奈】が、励ますようにその肩に手を置いた__。
「っははぁあああー‼︎」
突然、がばっと顔を上げた一ノ瀬ミサは、恐ろしいほど驚愕した顔で、大きく空気を吸い込む。
しかし、喉が異様に凹んでいた。
一気に何歳も、何十歳も老け込んでしまったようで、そのあまりの変わりように、声を掛けた久保明奈が腰を抜かす。
まただ。
また、生徒が死ぬ。
思い切り机に頭を打ちつけ、動かなくなった一ノ瀬ミサ。
生徒全員が、僕を振り返っていた。
その目に【恐れ】が宿る。
そして僕は確信したんだ。