死席簿〜返事をしなければ即、死亡


同じだ。


これまでと全く同じ。


安達みつるは喉を掻き毟(むし)った。鮎川沙奈江と一ノ瀬ミサは、唇の色を失くして顔色は紫色に。


心臓発作。


「___剣?」


間抜けな顔で口を大きく開けている剣は、俺に向かって手を伸ばす。


その手を俺が掴んだ瞬間、前にもたれ掛かってくる。


そのまま2人して床に倒れ込むが、慌てて起き上がった時にはもう__剣は息をしていなかった。


短い悲鳴が上がる。


学校中に響き渡る大声じゃなく、目の前で現実に起こっていることが信じられないという心の声。


教室内に、2名の死体。


しかも、さっきまで普通に生きていた。それなのに2人は、突然死した。それまでの3人のように?


「た、助けを呼ばないと‼︎」


誰かの声がきっかけで、俺たちは喧騒を取り戻す。


それぞれが携帯を手に助けを__。


「片平洋子」


その名が呼ばれると、教室は再び静まり返った。


今井は__俺たちの担任は、生徒が亡くなっているというのに構いもしないで、名前を呼び続ける。


その顔は、恐ろしいほど無表情だった。


「洋子?」


「えっ?」


未だに、遠藤重人の側についていた洋子が、俺の顔を見る。


「雷人、わたし__」


そこまで口にした時、洋子が目をかっと見開いた。


呼吸を求めて喘ぐ口元が、こう言っていたんだ。



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