死席簿〜返事をしなければ即、死亡
うそ、だろ?
俺の腕の中で__洋子の首ががくりとうな垂れた。
急に力が抜け落ちたように、動かない。
そんな、そんな__。
「おい、洋子‼︎」
「___はぃ」
かすかに、声が聞こえた。
次の瞬間。
「はぁああああー‼︎」
思い切り息を吸い込んだ洋子は、辛うじて息を吹き返す。
激しくむせるが、咳をするたびに頬に赤みが増していった。
「洋子、大丈夫か?」
「雷人、わたし__?」
俺の腕にしがみつく、小さい頃からの幼馴染を強く抱きしめる。
こんなこと普段なら照れ臭くて出来ないが、今は洋子が無事だったこと__死んでいったクラスメイトの後を追わなかったことに、心からホッとしていた。
洋子は返事をした。
ぎりぎりのところで、消え入るような声だったが確かに返事をした。
今井に名前を呼ばれ、返事をしたんだ。
そして、返事をしなかったものだけが、死んだ。
「みんな、返事だ。返事をしろ‼︎」
俺は大きな声で訴える。
そうすれば死なないのだと。
「北野義雄」
しかし、担任の無慈悲な出席確認は続く。