死席簿〜返事をしなければ即、死亡
「なにか言うことはあるか?今さら、お前がなにを言ったところで、有罪は確定だけどな」
そう言いながら、今井がジャクソンの猿轡を解いた。
しかし、ジャクソンは呼吸を整えるだけで口を噤(つぐ)んだまま。
てっきり口汚く罵声を浴びせるかと思ったが、なにかが違う。これまでの怒りっぽいいじめっ子はどこか様子が違っていた。
そのことを今井も感じ取ったのだろう。
「もう諦めたのか?お前のことだ、悪あがきをしそうだったが、どうやら勘違いらしい。お前は和久井だけじゃない、教師のことも攻撃する野蛮なクソガキだ。生徒が教師に逆らうなんてことは、あってはならない!」
喋っているうちに興奮したのか、今井が顔を強張らせて怒鳴る。
散々、馬鹿にされたことを思い出したのか。
「お前みたいなやつは、誰にきくまでもない!有罪に決まっている!」
「__だろうな」
「なんだ。命乞いか?」
「なにを言っても有罪なんだろ?こいつらみたいに殺されるだけだ」
ジャクソンが顎を突き出す先には、村瀬と世良の死体。
間違いなく同じ目に遭うというのに__。
「俺の名前を呼べよ。呼んで殺せ」
足元から響いてくるような、凄みのある声。
一瞬、ほんの一瞬だけ今井の顔が引きつった。
以前の、ダメ教師が顔を覗かせたんだ。
それを目ざとく見逃さなかったジャクソンが、鼻で笑う。
「お前‼︎」
激昂した今井が、スタンガンを突き出した。
その時だ。