懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
私、女王になります
◇◇◇
西の空が茜色に染まる頃。
城内の広々とした屋外闘技場には、真剣を交える物騒な金属音と、それとは逆に楽しげな男女の声が響いていた。
「私の新技を食らうがいいわ!」と言いながら、右手の剣をヒュンヒュンと唸らせているのは、この国、ミトロニア王国の王女、ラナスタシアである。
柔らかな質感のブロンドの長い髪をひとつに結わえ、サラサラした前髪の下には緑がかった碧眼が輝いている。
エメラルドのような瞳は長い睫毛に縁取られて美しく、ツンとした鼻やぷっくりとした唇は愛らしい。
ただし、この王女は気が強く、少々……いや、かなりお転婆な性分が玉に傷であった。
白いズボンに茶色のブーツ、若草色のジャケットは乗馬用のものだが、彼女は剣の稽古をする際にもこの衣装を身につけている。
いかにも王女というドレスを着ていては、動きが鈍るからだ。
華奢な体を回転させた王女は、その反動を利用して、自分より随分と体格のいい青年をなぎ払おうとしている。
その攻撃を軽々と片手剣で受け止め、いなして弾いた青年は、高らかに笑った。
「なにが新技だ。無駄な動きが増えただけじゃないか。隙だらけで、実戦なら、とっくにやられてるぞ」
西の空が茜色に染まる頃。
城内の広々とした屋外闘技場には、真剣を交える物騒な金属音と、それとは逆に楽しげな男女の声が響いていた。
「私の新技を食らうがいいわ!」と言いながら、右手の剣をヒュンヒュンと唸らせているのは、この国、ミトロニア王国の王女、ラナスタシアである。
柔らかな質感のブロンドの長い髪をひとつに結わえ、サラサラした前髪の下には緑がかった碧眼が輝いている。
エメラルドのような瞳は長い睫毛に縁取られて美しく、ツンとした鼻やぷっくりとした唇は愛らしい。
ただし、この王女は気が強く、少々……いや、かなりお転婆な性分が玉に傷であった。
白いズボンに茶色のブーツ、若草色のジャケットは乗馬用のものだが、彼女は剣の稽古をする際にもこの衣装を身につけている。
いかにも王女というドレスを着ていては、動きが鈍るからだ。
華奢な体を回転させた王女は、その反動を利用して、自分より随分と体格のいい青年をなぎ払おうとしている。
その攻撃を軽々と片手剣で受け止め、いなして弾いた青年は、高らかに笑った。
「なにが新技だ。無駄な動きが増えただけじゃないか。隙だらけで、実戦なら、とっくにやられてるぞ」
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