懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
着飾っての晩餐は、特別なことではなく、ラナたち王侯貴族にとっての日常である。

そういうものだと思って育ってきた彼女であるため、それについての不満を抱いたことはない。

ただ、このネックレスは重たいから、食事を終えて自室に戻ったら、すぐに外そうとは考えていた。


白いクロスがかけられた十人掛けの長テーブルには、上座に父、角を挟んだ隣にラナの母親である王妃が座っている。

母の向かいが兄で、その隣がラナの席だ。

数年前に祖母が他界して、ミトロニアの国王一家は今、この四人である。


目の前のテーブルには、本日のメインディッシュ『合鴨のロースト、バルサミコソース掛け』が出されたところで、ラナは早速、鴨肉にナイフを入れた。

肉質はジューシーで脂が程よくのり、皮はパリッと香ばしく焼き上げてある。

カトラリーを優雅に操る彼女は、口元に笑みを浮かべて夢中で食べていた。

今日はいつもより長めに稽古をし、お腹が空いていたため、食が進む。

美味しいメインディッシュに舌鼓を打つ彼女であったが、父が公共事業について兄に話しかけたから気が逸れた。


「エイドリアン、お前に任せた灯台建設はどうなっているんだ。工事が進んでいないという報告を受けたぞ」
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