懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
口髭を撫でつつ、訝しむような視線を向けている国王は、年齢のせいだけではない皺を眉間に深く寄せている。
問いかけられた王太子は、ギクリとした様子でワイングラスを持つ手を止めたが、「父上、ご心配なく。全てが順調です」とわざとらしいほどの笑みを浮かべてグラスを煽った。
それから彼は、「今夜のワインは上等だ。産地はどこかな? ボトルを見せてくれ」と給仕係の使用人に振り向き、問いかけた。
急に話題をワインに移したのは不自然で、何かを隠していることは、誰の目にも明らかであった。
「エイドリアン!」と強い口調で父に呼びかけられた王太子は、「ヒッ」と肩を揺らしてから、渋々といった顔で白状する。
「実は、先月より工事を中断しています。資金が不足してしまいましてーー」
港に新しい灯台を建設することが決まったのは、昨年の秋である。
国王は政治能力に欠ける息子を心配し、予算を組むところまでやってあげてから、その仕事を任せたのだが、このアホな王太子は灯台ひとつ建てられないらしい。
その理由は、脳みその九割がスケベな妄想で構成されているせいだろう。
息子から事情を聞いた国王は、目の玉が飛び出しそうなほどに驚いている。
問いかけられた王太子は、ギクリとした様子でワイングラスを持つ手を止めたが、「父上、ご心配なく。全てが順調です」とわざとらしいほどの笑みを浮かべてグラスを煽った。
それから彼は、「今夜のワインは上等だ。産地はどこかな? ボトルを見せてくれ」と給仕係の使用人に振り向き、問いかけた。
急に話題をワインに移したのは不自然で、何かを隠していることは、誰の目にも明らかであった。
「エイドリアン!」と強い口調で父に呼びかけられた王太子は、「ヒッ」と肩を揺らしてから、渋々といった顔で白状する。
「実は、先月より工事を中断しています。資金が不足してしまいましてーー」
港に新しい灯台を建設することが決まったのは、昨年の秋である。
国王は政治能力に欠ける息子を心配し、予算を組むところまでやってあげてから、その仕事を任せたのだが、このアホな王太子は灯台ひとつ建てられないらしい。
その理由は、脳みその九割がスケベな妄想で構成されているせいだろう。
息子から事情を聞いた国王は、目の玉が飛び出しそうなほどに驚いている。