懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
「なんだと!?」と叫び、肉付きのよいお腹を揺すって立ち上がると、皿から鴨肉が飛び出しそうな勢いでテーブルを叩いた。


「灯台の予算を、ハーレム宮建設に回してしまっただと!? この……大馬鹿者が!!」


ラナと王妃も驚き呆れて、開いた口が塞がらずにいる。

叱られた王太子だけは、バレてしまったかと言いたげに肩をすくめているだけで、反省の色は見られない。

「お前をこの任から外す!」と厳しい言葉を父にぶつけられたら、「来夏にすぐに建設に取り掛かろう思ったけど無理か……」と独り言を呟き、思案するように天井を仰いでいた。

おそらくは、予定より一年ほど遅れてしまうが、仕方ないから王位継承後にハーレム宮の予算を組むところからやり直そうと考えているのではあるまいか。

勉強や仕事はすぐに投げ出すのに、スケベなことに関しては、諦めが悪いというのが王太子である。


家族の中で、驚きから先に回復したラナは、小さなため息をついてから、食事の続きに戻る。


(さすがはお兄様ね。お父様に叱られても、とことんアホを貫くつもりなんだわ……)


ラナが鴨肉の最後のひと切れを味わっていたら、怒鳴り疲れた国王が、椅子にストンと腰を落とし、テーブルに両肘をついて頭を抱え込んだ。

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