懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
それを見ている王妃は、心配そうである。
五十になろうかという年齢の王妃は、肌艶がよく、若かりし頃の美貌を維持していると言えよう。
ラナの容姿の大部分は母譲りであるが、性格は違う。
王妃の方が穏やかで大人しく、気が弱いところもある。
オロオロとした様子の王妃は、レースのハンカチを取り出して目頭に当てると、「あなた、申し訳ございません」と夫に謝罪した。
「わたくしが至らぬばかりに、子供たちがまともに育ちませんでしたわ。ひとりは色事ばかりの愚か者で、もうひとりは未だに結婚の申し込みもない跳ねっ返りで……」
「え……わたくしもですの?」と、ラナは意表を突かれた思いで、涙する母を見た。
まさか、アホな兄と同列で非難されるとは考えていなかったのだ。
反論しようか、どうしようかとラナは考えている。
結婚適齢期の十九になっても求婚者が現れないのは、その通りであるのだが、それは彼女がお転婆娘であるから敬遠されているわけではない。
ここ数年のラナは、淑女に見られるよう努力して振舞っているつもりである。
両親に恥をかかせないようにと、他貴族と交流する際には特に、立ち居振る舞いに気をつけているので、『実に王女らしくお育ちになられましたな』と褒められるほどであった。
五十になろうかという年齢の王妃は、肌艶がよく、若かりし頃の美貌を維持していると言えよう。
ラナの容姿の大部分は母譲りであるが、性格は違う。
王妃の方が穏やかで大人しく、気が弱いところもある。
オロオロとした様子の王妃は、レースのハンカチを取り出して目頭に当てると、「あなた、申し訳ございません」と夫に謝罪した。
「わたくしが至らぬばかりに、子供たちがまともに育ちませんでしたわ。ひとりは色事ばかりの愚か者で、もうひとりは未だに結婚の申し込みもない跳ねっ返りで……」
「え……わたくしもですの?」と、ラナは意表を突かれた思いで、涙する母を見た。
まさか、アホな兄と同列で非難されるとは考えていなかったのだ。
反論しようか、どうしようかとラナは考えている。
結婚適齢期の十九になっても求婚者が現れないのは、その通りであるのだが、それは彼女がお転婆娘であるから敬遠されているわけではない。
ここ数年のラナは、淑女に見られるよう努力して振舞っているつもりである。
両親に恥をかかせないようにと、他貴族と交流する際には特に、立ち居振る舞いに気をつけているので、『実に王女らしくお育ちになられましたな』と褒められるほどであった。