懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
「アダモビッチ侯爵、あなたに味方する者はもうひとりもいないわ。観念しなさい。わたくしが目にした悪行を、つぶさに国王陛下に報告し、法の下で裁きます。麻薬の製造及び密売は、重罪。覚悟して沙汰を待ちなさい」


ラナの強気な碧眼には、容赦なく悪を裁くという決意が表れていた。

過去には楽しく語らい、信頼していた相手であったとしても、情けをかけるつもりはない。

それは国家の秩序と平和を守るためであり、女王として君臨する気があるのなら、時として非情にならねばならないのだ。


全てを見破られ、厳しい言葉をかけられた侯爵は、苦しげに唸ると、膝から崩れ落ちる。

「仰せのままに……」

両手と額を床につけて平伏し、ついに観念した様子であった。


* * *

アダモビッチ侯爵を成敗してから二週間ほどが経ち、周囲の野山は秋色に染められている。

ラナが王城に早馬の知らせを出したので、侯爵を連行するための兵や、領主不在の間、代理統治する政府関係者など、数十名が国王命令でこの地にやってきた。
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