懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
麻薬事件の完全解決にはまだしばらく時間が必要だと思われるが、事後処理については派遣されてきた者たちに任せることにして、ラナたちは侯爵領を出発した。

国王から【すぐに帰れ】という命令も受けている。

けれども王都に帰り着くまでは、もうしばらく自由な旅人気分を味わいたいとも思い、ラナは馬に乗らず歩いての帰還を選択した。


アダモビッチ侯爵領を出て、休み休み、五時間ほどを歩いたら、西の空が薄っすらと赤みを帯びる。

そろそろ、今夜の宿を確保せねばならないだろう。

近くに町がない時は、農家や牛飼い、木こりなどの民家に、金を払って寝かせてもらっていた。

それさえも見つけられなければ、野宿だ。

これまでの三カ月半ほどの旅で、テントの中で眠ったのは五度ほどあった。

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