懲らしめて差し上げますっ！～じゃじゃ馬王女の下克上日記～

ラナの言葉は、おそらく図星だと思われるが、カイザーは怒ることも照れることもない。

ただ「答えねーよ」とボソリと呟いて、爪先で玉石をいじるのみであった。


その態度をつまらないと思ったのか、彼女は頬を膨らませる。

その直後に、なにか楽しいことを閃いたような顔をしてニッと笑うと、隣で腕組みをしているカイザーの片腕を掴んだ。

「なんだ？」と彼が問いかけても答えず、その腕を自分の肩に回しかけ、ラナは体をピッタリと彼に寄り添わせる。

「寒いから温めてよ」と微笑んだ彼女に、カイザーがうろたえた。


「ま、待て。マズイだろ。後ろの三人に気づかれたら……」


星明かりの下では頬の赤みまでわからないが、彼の動揺はわかりやすく伝わってくる。

焦ってラナの肩から腕を外そうとしているが、手首を両手で引っ張るように掴まれ、離れることを許してもらえない。


なにを思って、ラナはこんなことをするのか……。

それを図りかねて困り顔をするカイザーに、彼女はニヒヒと笑って言った。


「私と離れるのが嫌なんでしょ？　だからくっついてあげてるんだよ。もっと喜んで。それとも照れてるの？　よく一緒に沐浴した仲なのに、変なの」

「赤ん坊の頃の話してんじゃねーよ！　さては、お前……」