懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
上等な騎士服に比べれば見劣りする衣装のカイザーだが、たとえボロを纏っていたとしても、彼の麗しさは少しも損なわれない。
小麦畑の中には、農作業中の村娘が数人いた。
彼女たちは手を止め、熱を帯びた視線をカイザーに注いでいるようであった。
お弁当を食べる場所について話しかけたラナに、カイザーは呆れ顔で「浮かれてんじゃねーよ。もっと気を引きしめろ」と注意する。
するとラナはムッとして、「浮かれてないよ。重要な任務であることはもちろんわかってる」と口を尖らせて反論した。
けれどもすぐにご機嫌な声色を取り戻し、「仕事はきっちりやるつもりだけど、目的地に着くまでは楽しんだっていいじゃない」と明るく笑って言った。
「ほら、カイザーも笑ってよ。一緒に歌でも歌おうか?」
「嫌だ」
「ノリの悪い奴だね。いいよ、ひとりで歌うから。途中でハモりたいと言っても、ハモらせてあげないんだからね」
「アホか」
口喧嘩を楽しむふたりの後ろには、この旅の同行者が三人いる。
ひとりはグリゴリーという名の、十八歳の従騎士だ。
小麦畑の中には、農作業中の村娘が数人いた。
彼女たちは手を止め、熱を帯びた視線をカイザーに注いでいるようであった。
お弁当を食べる場所について話しかけたラナに、カイザーは呆れ顔で「浮かれてんじゃねーよ。もっと気を引きしめろ」と注意する。
するとラナはムッとして、「浮かれてないよ。重要な任務であることはもちろんわかってる」と口を尖らせて反論した。
けれどもすぐにご機嫌な声色を取り戻し、「仕事はきっちりやるつもりだけど、目的地に着くまでは楽しんだっていいじゃない」と明るく笑って言った。
「ほら、カイザーも笑ってよ。一緒に歌でも歌おうか?」
「嫌だ」
「ノリの悪い奴だね。いいよ、ひとりで歌うから。途中でハモりたいと言っても、ハモらせてあげないんだからね」
「アホか」
口喧嘩を楽しむふたりの後ろには、この旅の同行者が三人いる。
ひとりはグリゴリーという名の、十八歳の従騎士だ。