懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
国王よりひとつ年下の五十八歳であるが、白髪多めのモッサリとした顎髭を蓄えているため、実年齢より少々老けて見られる。

ラナがイワノフを供にした理由は、知恵を借りたいということの他に、家族を装おうと考えたためであった。

イワノフを父、ラナたち四人をその子供として、遠方の貴族の屋敷に、家族で雇われに行くという設定で旅をすることにしたのだ。


そして、同行者の最後のひとりは、最後尾をチョコチョコと一生懸命についてくる、ラナの侍女である。

肩までの赤茶の髪はやけに直線的にカットされ、ラナと同じような町娘の格好をした彼女の名は、オルガ。

身長、百四十五センチという小柄で童顔のため、十二歳くらいに見られてしまうが、ラナよりふたつ上の二十一歳である。

時と場合により、ラナが実に王女らしく振る舞うことができるのは、しっかり者のオルガが側にいてくれるから、と言っても過言ではない。


グリゴリーとイワノフの会話を聞いたオルガは、「姫様は幼少より庶民言葉がお得意です。一朝一夕で身につけたものではありません」と真面目な声で指摘を入れた。

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