懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
子供の役の四人の中で、自分が一番年長だと主張したくなったのか、厳しい顔をして一歩前に出ると、口を開こうとしていた。

オルガを後ろから抱きしめるように、その口を塞いだのは、ラナである。


ここで役人に食ってかかっても、なにも良いことはない。

お忍びで調査するのだから、相手の印象に残るような言動は避けるべきだと、ラナは考えていた。

「ほらほら、早く町に入ろう。お姉ちゃん、お腹が空いちゃったよ」とごまかしたラナは、それからオルガの耳に口を寄せ、「我慢して」と囁いた。


最初の任務は、レベンツキー領に足を踏み入れた時から始まっている。

ここに着くまでの呑気な娯楽旅行気分から、ラナはすっかり気持ちを切り替えていた。


ハッと我に返った様子のオルガは、自分は大人だと主張するのを諦めて、こっくりと頷いた。

いつもとは逆に、ラナに注意されたことを恥じているような表情にも見えた。


入口の役人に怪しまれることなく、町に入った五人は、メインストリートと思われる幅広の石畳の道を進みながら、それぞれに町の様子を観察していた。



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