懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
「ご宿泊ですか? 部屋はいくつ用意しましょう」
宿屋の主人は枯れ草色のベストを着て、痩せ気味の中年男性である。
言葉遣いは丁寧でも、その顔は無愛想……というより、やる気が感じられない。
通りを歩いていた町人たちと同じように、疲れているようにも見える。
イワノフが代表して部屋をふたつ取り、夕と朝の食事も頼んで、先払いで支払いをしようとした。
すると宿屋の主人に、「五名様、二部屋で、八万ゼニーになります」と言われた。
思わず、「八万ゼニー!?」と驚きの声を上げたのは、カウンターから離れたドア側に立っていたラナである。
貴族や豪商を客にしている格式高い宿屋ならいざ知らず、明らかに庶民をターゲットにしているこの程度の宿屋で、その値段は高すぎる。
王都ならば、安宿の一泊の相場は、その半額ほどだろう。
悪徳宿屋なのではないかと思ったラナは、「ちょっと、いくらなんでも高すぎるわよ!」と語気荒く、カウンターに詰め寄った。
キッと主人を睨みつけ、カウンターに叩きつけようとした彼女の右拳は、横からサッと出されたカイザーの手のひらに受け止められてしまう。
宿屋の主人は枯れ草色のベストを着て、痩せ気味の中年男性である。
言葉遣いは丁寧でも、その顔は無愛想……というより、やる気が感じられない。
通りを歩いていた町人たちと同じように、疲れているようにも見える。
イワノフが代表して部屋をふたつ取り、夕と朝の食事も頼んで、先払いで支払いをしようとした。
すると宿屋の主人に、「五名様、二部屋で、八万ゼニーになります」と言われた。
思わず、「八万ゼニー!?」と驚きの声を上げたのは、カウンターから離れたドア側に立っていたラナである。
貴族や豪商を客にしている格式高い宿屋ならいざ知らず、明らかに庶民をターゲットにしているこの程度の宿屋で、その値段は高すぎる。
王都ならば、安宿の一泊の相場は、その半額ほどだろう。
悪徳宿屋なのではないかと思ったラナは、「ちょっと、いくらなんでも高すぎるわよ!」と語気荒く、カウンターに詰め寄った。
キッと主人を睨みつけ、カウンターに叩きつけようとした彼女の右拳は、横からサッと出されたカイザーの手のひらに受け止められてしまう。