懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
イワノフは顎髭をしごきつつ、眉間に皺を寄せて資料とにらめっこを続けている。
国王が絶大な信頼を寄せているその秀抜な頭脳を、フル回転させている様子であった。
「最後に視察団が入ったのは、昨年の秋じゃな。その時はーー」
半年ほど前の視察でも、町にこれといった異常はなく、大通り沿いは白壁の建物が美しく建ち並んでいたと記されている。
身なりのよい町人たちが視察団の馬車を、旗を振って出迎えてくれて、練習したかのように『ミトロニア王国、万歳!』と声を揃えていたそうだ。
ラナは三つ並んだベッドの真ん中に腰掛けて、足をばたつかせていた。
「お肉が食べたかったのにー」と、まだ食事についての文句を言っている。
それをたしなめるのは、侍女のオルガである。
「姫様、はしたないですよ。足を揃えてお座りください。それに就寝している宿泊者もいるかもしれないので、お静かにお願いします」
「ジャガイモじゃなくて、ビーフシチューを食べさせてくれたら静かにするよ。ほんと頭にくる。八万ゼニーも払ったのに、なんで肉を出さないのよ!」
国王が絶大な信頼を寄せているその秀抜な頭脳を、フル回転させている様子であった。
「最後に視察団が入ったのは、昨年の秋じゃな。その時はーー」
半年ほど前の視察でも、町にこれといった異常はなく、大通り沿いは白壁の建物が美しく建ち並んでいたと記されている。
身なりのよい町人たちが視察団の馬車を、旗を振って出迎えてくれて、練習したかのように『ミトロニア王国、万歳!』と声を揃えていたそうだ。
ラナは三つ並んだベッドの真ん中に腰掛けて、足をばたつかせていた。
「お肉が食べたかったのにー」と、まだ食事についての文句を言っている。
それをたしなめるのは、侍女のオルガである。
「姫様、はしたないですよ。足を揃えてお座りください。それに就寝している宿泊者もいるかもしれないので、お静かにお願いします」
「ジャガイモじゃなくて、ビーフシチューを食べさせてくれたら静かにするよ。ほんと頭にくる。八万ゼニーも払ったのに、なんで肉を出さないのよ!」