懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
気が乗らないと言いたげな歩き方で近づいたカイザーは、腰の剣を抜くと、暴れるラナの剣を受け止めた。
夕暮れの闘技場に、ふたつの剣が交わる甲高い音が響く。
王城騎士としてカイザーは、王太子の命に従わねばならないが、彼としても闘技場を潰されてハーレム宮を建てられるのには不満があるはずだ。
それで彼はラナに向け、どこかわざとらしい真面目くさった顔をしてこう言った。
「姫様のお相手を致します。どうぞ思い切り、斬りかかってきてください」
「カ、カイザー!?」という王太子の驚きの叫びを、彼は無視した。
『ラナをなんとかしろ』と言われたが、『止めろ』とは指示されていないので、命令に背いたことにはならないだろうと判断したようだ。
ふたりは、過剰なほどに剣を激しくぶつけ合い、王太子の周囲を回るようにして稽古を再開させてしまった。
こうなればもう、悠長にハーレム宮建設の相談をしている場合ではない。
身の危険を感じた様子の王太子は、「撤収ー!」と声を上げ、闘技場から逃げ出した。
王太子を追って近侍と建築士が出ていっても、ラナとカイザーは剣を鞘に収めず、まだ戦いながら、砕けた口調に戻して話し始めた。
夕暮れの闘技場に、ふたつの剣が交わる甲高い音が響く。
王城騎士としてカイザーは、王太子の命に従わねばならないが、彼としても闘技場を潰されてハーレム宮を建てられるのには不満があるはずだ。
それで彼はラナに向け、どこかわざとらしい真面目くさった顔をしてこう言った。
「姫様のお相手を致します。どうぞ思い切り、斬りかかってきてください」
「カ、カイザー!?」という王太子の驚きの叫びを、彼は無視した。
『ラナをなんとかしろ』と言われたが、『止めろ』とは指示されていないので、命令に背いたことにはならないだろうと判断したようだ。
ふたりは、過剰なほどに剣を激しくぶつけ合い、王太子の周囲を回るようにして稽古を再開させてしまった。
こうなればもう、悠長にハーレム宮建設の相談をしている場合ではない。
身の危険を感じた様子の王太子は、「撤収ー!」と声を上げ、闘技場から逃げ出した。
王太子を追って近侍と建築士が出ていっても、ラナとカイザーは剣を鞘に収めず、まだ戦いながら、砕けた口調に戻して話し始めた。