懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
食べきれないほどたっぷりと振舞われた、美味しい郷土料理を、『旅の醍醐味』と表現したラナに、オルガが真面目な顔で指摘を入れる。
「姫様、この旅の醍醐味は国王陛下から与えられた課題をクリアすることであって、食べることではありません。頭を切り替えてください」
「そうだったわね……」
やっとふたつ目の貴族領に到着した今日くらいは、ゆっくりさせてほしいという思いもあるが、オルガの注意はもっともなので、ラナはベッドに身を起こした。
荷物の中から、この領地に関して記載された資料を取り出し、問題点を改めて整理する。
この地を治めるルーモン伯爵は、昨年の春に父親から爵位を譲り受けたと書かれている。
引退した父親の顔は、ラナの頭にすぐに浮かんだが、息子である現領主は、ぼんやりとしか思い出せない。
これまでに二、三度しか会ったことがないためか、それとも特徴に乏しく影の薄い人物であることが影響しているのかもしれない。
そして領主が代替わりしてから領民たちの間に争いが生じている、という噂が王城に届いたと資料には書かれていた。
「姫様、この旅の醍醐味は国王陛下から与えられた課題をクリアすることであって、食べることではありません。頭を切り替えてください」
「そうだったわね……」
やっとふたつ目の貴族領に到着した今日くらいは、ゆっくりさせてほしいという思いもあるが、オルガの注意はもっともなので、ラナはベッドに身を起こした。
荷物の中から、この領地に関して記載された資料を取り出し、問題点を改めて整理する。
この地を治めるルーモン伯爵は、昨年の春に父親から爵位を譲り受けたと書かれている。
引退した父親の顔は、ラナの頭にすぐに浮かんだが、息子である現領主は、ぼんやりとしか思い出せない。
これまでに二、三度しか会ったことがないためか、それとも特徴に乏しく影の薄い人物であることが影響しているのかもしれない。
そして領主が代替わりしてから領民たちの間に争いが生じている、という噂が王城に届いたと資料には書かれていた。