すれ違いの純情【短編】
弟の友達からいきなりの告白を、しかも弟伝いに受けた事。


今までそんな素振りを1ミリも見せなかった相手だから、からかわれたんじゃないかと戸惑っている事。


真面目に返事を返すのでさえ、ためらわれる。


それをあくまで‘友達の話’として説明した。


「ふぅん…。でもさ、肝心なのはその友達が彼をどう思ってるか、だよね?」


「どう…?」


あたしは困惑した。


…どうって。


「と、友達は。4つも年下は有り得ないって言ってて」


「まぁ、確かに。年齢差は考えるよね~」


「それにその男の子、顔を合わせてもいつもムスッとしててちっとも笑わないし…。

こうやっていちいち悩んでるのも嫌って言うか…」


「ふぅん…?」


目が合った浅倉さんがニヤニヤと笑うので、あたしは慌てて

「…って、友達が…!」

と付け足した。


「まぁ、色恋で悩むのはお互いに良いことだよね?」


「はい?」


浅倉さんの意図が分からず、あたしはポカンと口を開けた。


「その友達に言っといて?」


意味深な目線に今度は小首を傾げる。


「相手の気持ちが本気かどうか考えるよりも、もっと自分の気持ちを見つめ直した方がいいって」


「…? はぁ…」


< 6 / 22 >

この作品をシェア

pagetop