こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
第一章 最悪な偶然
嵐のように激しく求めあった熱が嘘のように冷めていくと、私はぶるりと身体を小さく震わせた。
「凛子。寒いのか?」
「いいえ、大丈夫です」
しっとりと汗ばんだ肌はべたついていて、私は一糸まとわぬ気だるい身をベッドに沈ませていた。
いつの間に起き上がったのか、ベッドの中で私の頭をずっと撫でていた彼は、すでに着替えを済ませ、少し乱れた髪をさっとなでつけるとネクタイを鏡の前で絞めた。
まるで何事もなかったかのように。
「木崎課長。もう行くんですか?」
のろりと身体を起こして尋ねると、木崎課長はスマホをチラッと見て言った。
「ああ。今夜は残業っていうことになっているが、そろそろ帰らないと色々面倒だからな。しばらく休んだらお前も気をつけて帰るんだぞ」
「……はい」
「また連絡する」
木崎課長は手短に一服して灰皿に煙草を押しつけると、そそくさとホテルを後にした――。
「凛子。寒いのか?」
「いいえ、大丈夫です」
しっとりと汗ばんだ肌はべたついていて、私は一糸まとわぬ気だるい身をベッドに沈ませていた。
いつの間に起き上がったのか、ベッドの中で私の頭をずっと撫でていた彼は、すでに着替えを済ませ、少し乱れた髪をさっとなでつけるとネクタイを鏡の前で絞めた。
まるで何事もなかったかのように。
「木崎課長。もう行くんですか?」
のろりと身体を起こして尋ねると、木崎課長はスマホをチラッと見て言った。
「ああ。今夜は残業っていうことになっているが、そろそろ帰らないと色々面倒だからな。しばらく休んだらお前も気をつけて帰るんだぞ」
「……はい」
「また連絡する」
木崎課長は手短に一服して灰皿に煙草を押しつけると、そそくさとホテルを後にした――。
< 1 / 317 >