こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
「連絡できなくてごめん。色々忙しくて……空き巣の話、聞いたんだね」

『ああ。先日お前のアパートの大家さんから連絡があって、凜子に電話してもずっとつながらないし、心配したぞ。今どこにいるんだ? 最上君の家か?』

「うん。ちょっと体調崩しちゃって今、最上さんの家で休ませてもらってる。今度はちゃんとした物件探すか――」

『駄目だ』

父にしては珍しく厳しい声音で言葉を遮られた。やっぱりか……。と思い言葉に詰まっていると。

『実家に今すぐ帰ってきなさいとは言わない。しかし、もう独り暮らしは駄目だ。保証人にも連帯保証人にもならん』

「そんな……」

『ただし、最上君の家にいるというのなら話は別だ』

保証人にならないと言われて絶望だったところに光が……と思いきや、その条件はあんまりだった。

最上さんの家にいるならって……それって、同居するってこと!?

もしかして、だから私の荷物全部アパートから引きあげてきたの?

『それと凜子。お前、本社からコールセンターへ異動になったそうじゃないか、最上君から聞いた』

「なんだ、それももう聞いてたんだね。話そうと思ってたんだけど……」

本社から外されてしまうことにがっかりさせてしまうのではないかと思いきや、父の反応はむしろ逆だった。
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