こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
第五章 やっぱりこれって恋?
風邪を引いたのなんて何年ぶりだろうか。おそらく社会人になってからは初めてだ。独り暮らしだったし、いつも仕事が忙しくて休んでいる暇なんてなかった。積年の疲労が今になって爆発してしまったのかもしれない。

今日はほとんど寝て過ごした。小宮さんに食事を作ってもらったり、身動きの取れない私に代わってあれこれ世話を焼いてくれた。薬が効いたのか、その日の夜になったら熱も引いて、汗ばんだ身体を洗い流すべくシャワーを浴びた。

髪の毛を拭きながらふと、時計を見る。

最上さん、忙しいのかな……まだ帰って来てないみたい。

二十二時になるけれど、最上さんはまだ帰宅していなかった。
夕方頃、小宮さんはいったんマンションを離れた。そしてしばらくするとリビングのソファで休んでいるところへどこかで買い物をしてきたのか、スーパーの袋を手に小宮さんが戻ってきた。
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