こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
「本社から異動になった酒井凛子です」

総務課のオフィスへ行くと、眼鏡をかけた中年女性がやってきて、最上さんから預かっているという書類を手渡された。

私の配属された所は、顧客や会社相手に商品の問い合わせ等を対応するテクニカルサポート部というところで、そのほかに商品の注文を受けたりするテレオペ、クレームを主に受けるカスタマーサポート部がセパレートを隔てて一緒のフロアにあった。別の階にはテレマーケティングが設置されていて、あとは総務部と経理部が五階にある。そして最上さんはここ全体を統括しているセンター長だ。

緊張しながら私のオフィスとなる部屋を覗いてみる。綺麗な女性がインカムをつけてパソコンに向かって明るく元気に笑っているのをテレビのCMや広告で見たことがある。まさにそんな光景が私の目の前に広がって唖然としてしまった。すると。

「あの、今日からここに異動してきた酒井さん……ですか?」
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