こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
インターネットが普及するこの世の中で、ネット販売に着目した経営プランにすっかり意気投合し、彼と一緒なら大丈夫だ。そう確信して共同で会社を起業しようということになった。大学を卒業し、一年がかりで起業のためふたりで貯蓄していた資金だったが、ある日のこと銀行口座からすべて金が引き下ろされていた。なおかつ金融機関へのプレゼンのネタもなくなっていて、同時期にマックスも消えた。

持ち逃げされた……。

まさか、マックスがそんなことをするなんて何かの間違いだ。毎晩のように将来の夢を語り合い、互いを認め合って信じていたというのに。俺はいまだに信じられない気持ちのまま、彼に何度も電話をかけた。そしてようやく電話に出たマックスは俺に言った。

『貴斗。お前の実家、会社やってるんだってな。だったら俺が起業して社長になったっていいだろ。お前は、嫌でも自分の会社の社長になれるんだからさ』
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