こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
父は私の勤める会社と同業で中小企業の食品メーカーの代表を務めている。社員の人とも面識があるし、だからこそ慣れ合いになりたくなくてソニリアへ入社した。それに社長の娘だという目で見られながら仕事をするのも嫌だった。けれど、父はそんな私の気持ちを理解してくれて、本当は自分の会社で働いて欲しかったと言いつつも他社で仕事をする自由をくれた。
私に母はいない。小学生のときに病気で他界した。忙しい合間を縫って父は男手ひとつで一人娘の私を育ててくれた。いつだって父の言いつけは守り、優等生でいなければならないと思って国立の大学にも入った。就職も大手に決まって手放しで喜んでくれたというのに、まさか人の道を外れているようなことをしていると知ったら……。
「もう寝よ」
考えても仕方のないことはキリがない。“会わせたい人”と会うのは来週の週末だ。それまでどんな人かなと、想像だけ膨らませておくことにした。
私に母はいない。小学生のときに病気で他界した。忙しい合間を縫って父は男手ひとつで一人娘の私を育ててくれた。いつだって父の言いつけは守り、優等生でいなければならないと思って国立の大学にも入った。就職も大手に決まって手放しで喜んでくれたというのに、まさか人の道を外れているようなことをしていると知ったら……。
「もう寝よ」
考えても仕方のないことはキリがない。“会わせたい人”と会うのは来週の週末だ。それまでどんな人かなと、想像だけ膨らませておくことにした。