こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
みんなから信頼されて頭もキレる。御曹司らしい仕草からうかがえる上品さを思うと、最上さんが荒れた生活をしていたなんて、小宮さんが言うように想像もつかなかった。
「今思うと、あの時の最上はおそらく自分自身に向き合うのが怖かったんだと思います」
私の注文したチャイナブルーに入っていた氷はすっかり溶け、色が二層になっている。小宮さんのジントニックも。それだけ、いつの間にか長い時間が過ぎていたのだと思わされた。
「頭の中ではわかっているんですよ、大切なものはなんなのか、自分の今すべきことはなんなのか……けど、信じていたものに裏切られたトラウマが彼を臆病にしてしまうんです。そんな自分が嫌で、時に相手を傷つけてしまう……これが最上の悪い癖です。心理的に言うと、一種の破壊衝動みたいなものですね」
トラウマが臆病にする。
「今思うと、あの時の最上はおそらく自分自身に向き合うのが怖かったんだと思います」
私の注文したチャイナブルーに入っていた氷はすっかり溶け、色が二層になっている。小宮さんのジントニックも。それだけ、いつの間にか長い時間が過ぎていたのだと思わされた。
「頭の中ではわかっているんですよ、大切なものはなんなのか、自分の今すべきことはなんなのか……けど、信じていたものに裏切られたトラウマが彼を臆病にしてしまうんです。そんな自分が嫌で、時に相手を傷つけてしまう……これが最上の悪い癖です。心理的に言うと、一種の破壊衝動みたいなものですね」
トラウマが臆病にする。