こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
あまりの動揺にうっかり名刺を落としそうになってしまう。どういうことかさっぱり訳が分からない。全国探しても、ソニリアという名前の会社は一社しかない。見間違いか、と思ってもう一度名刺に目を落とすけれど、そこに書かれている会社名は確かに“ソニリア”だった。
ソニリアの本社は麻布にあるけれど、提携している企業や顧客からの問い合わせ等を担っているコールセンターは独立していて、六本木に部署を構えているのは知っていた。けれど、私の職場は本社だし、コールセンターの部署とは全くといっていいほど面識がない。
「最上君はソニリアのコールセンター長を務めているんだ。凛子と同じ会社だな、あっはっは」
初めから知ってたくせに!
そう思うと、呑気に笑ってごまかそうとする父の足をテーブルの下で思い切り踏みたくなった。おそらく、相手の勤めている会社名を言えば、同じ会社の人なんて絶対イヤ!とはなから断られるとわかっていたから、わざと言わなかったのだ。
次々と刺身の盛り合わせや寿司などが運ばれてくる中、父と最上さんは楽しそうに歓談しているけれど、いまだに現実が呑み込めない私は話をする気分になれなかった。
すっかり置いてけぼりの私を気遣ったのか、父が言った。
「凛子。実はな、最上君はソニリアの代表取締役の息子さんなんだ」
……はい?
ソニリアの本社は麻布にあるけれど、提携している企業や顧客からの問い合わせ等を担っているコールセンターは独立していて、六本木に部署を構えているのは知っていた。けれど、私の職場は本社だし、コールセンターの部署とは全くといっていいほど面識がない。
「最上君はソニリアのコールセンター長を務めているんだ。凛子と同じ会社だな、あっはっは」
初めから知ってたくせに!
そう思うと、呑気に笑ってごまかそうとする父の足をテーブルの下で思い切り踏みたくなった。おそらく、相手の勤めている会社名を言えば、同じ会社の人なんて絶対イヤ!とはなから断られるとわかっていたから、わざと言わなかったのだ。
次々と刺身の盛り合わせや寿司などが運ばれてくる中、父と最上さんは楽しそうに歓談しているけれど、いまだに現実が呑み込めない私は話をする気分になれなかった。
すっかり置いてけぼりの私を気遣ったのか、父が言った。
「凛子。実はな、最上君はソニリアの代表取締役の息子さんなんだ」
……はい?