こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
木崎課長は仕事もできるし、上司からの信頼も厚い。昨夜だって一部の上層部から評価されていると最上さんが言っていた。だから、そんなことになるなんて予想外だ。

「ま、まさか……どうしてですか?」

私とのことが原因で?

早鐘が鼓膜に響いてテーブルの下でぐっと手を握りしめる。コールセンターに異動になってから本社の情報はあまり入ってこない。調べれば社報でわかることなのかもしれないけれど、新しい仕事に追われていてそんな余裕もなかった。

――妻と別れることになったんだ。

木崎課長がぽろっとこぼした言葉が頭によぎった。離婚が出世に影響するなんてひと昔前のことだ。だからそのせいではないと自分に言い聞かせる。
< 190 / 317 >

この作品をシェア

pagetop