こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
最上さんはくしゃりと顔を歪め、今までに見たこともない素の感情が滲み出た表情になって私を勢いよく抱きしめた。いつも勝ち気で、強引で鼻で笑っている彼なのに、本当の最上貴斗という人を見た気がした。最上さんと視線が合う。
気持ちを伝えるのは決して罪なことじゃない。そう覚悟を決めて「好き」という胸の内を伝えようと口を開いた時だった。
甘くなりかけた雰囲気に、バッグの中のスマホが鳴りだしてお互いにハッとなった。
「すみません」
「気にするな。電話、取れよ」
すっと抱きしめられた腕が解かれ、私は間の悪い電話にため息が出る思いでスマホを取った。
中西専さん……?
中西さんはSAKAIで父の右腕として補佐している専務だ。今までかかってきたことはないけれど、ずっと前に一回だけ謝恩会で会った時に名刺をもらい、念のため番号を登録しておいたのだ。意外な人物からの電話になんとなく嫌な予感がした。
気持ちを伝えるのは決して罪なことじゃない。そう覚悟を決めて「好き」という胸の内を伝えようと口を開いた時だった。
甘くなりかけた雰囲気に、バッグの中のスマホが鳴りだしてお互いにハッとなった。
「すみません」
「気にするな。電話、取れよ」
すっと抱きしめられた腕が解かれ、私は間の悪い電話にため息が出る思いでスマホを取った。
中西専さん……?
中西さんはSAKAIで父の右腕として補佐している専務だ。今までかかってきたことはないけれど、ずっと前に一回だけ謝恩会で会った時に名刺をもらい、念のため番号を登録しておいたのだ。意外な人物からの電話になんとなく嫌な予感がした。